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2019-10-01

文化財は活きる建築になれるか。


むかしのデータを整理していたら、横浜の日本大通りの写真たちが出て来た。

日本で最初のブルーバール、つまり馬車から自動車が通行するために舗装され、街灯がともされた近代街路だ。
東横線の桜木町の駅がなくなり、みなとみらい線に移って間もないころ、まだ「日本大通り駅」ができたばかりのころ。
一眼レフカメラを抱えポジフィルムで撮影するため、大学生の僕は毎週のように当時住んでいた多摩川から東横線に乗って横浜に通っていた。

 

近代街路と言われる所以は、ここに立ち並ぶ近代建築たちが朱玉を凝らしたファサードたちが、街路の表情を形づくり、歩行者たちに新しい時代の雰囲気を伝えている。海側に伸びる先には海洋会館がある。もっともそこは今では象の鼻パークだ。


先日そのなかの旧財務省ビル(通称ZAIM)を運営するプロポーザルで球団ベイスターズをはじめとした事業体が選定された。
設計はオンデザイン。活用案は市の文化財保護とのせめぎ合いだ。
天井にボルトを差し込もうものなら全部プロットの上に、提出を求められ、既存躯体に触らないように建てられた間仕切りたちは、まさに施工者たちの心血が注がれた証しの所作が垣間みられる。
ある時代のなかで作られたものを尊重し、現在の使い方に則してしつらえを加える。

話を石巻に戻すと、2018年から「旧観慶丸商店」という文化財の指定管理をプロポーザルでISHINOMAKI2.0として選定された。
旧観慶丸商店は昭和5年に完成した石巻最初の百貨店と言われ、特徴的なタイル張りの外観は地域のランドマークで、初めて石巻を訪れた時より気になっていた。その建物が市に寄贈され、公共施設として生まれ変わるにあたり、是非とも運営し、公共施設ができることの可能性を追求したいと考えた。
まだ運営が始まって1年余り、はじめての公共施設の運営、行政手続き、公共サービスとしてできることとできないことの狭間での葛藤などいろいろあるが、施設がこれまで気づかなかった可能性を引き出すことができればと思う。

 

 

 

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