南三陸ワイナリー
■震災で生まれた仮設プレハブ水産加工場を、プレハブリユース鋼材と地域の素材でアッセンブル
東日本大震災で被災した南三陸町において、津波で流され た水産加工場がプレハブ建築として2012年に再建された。 月日は流れ、2019年に復興の中でのその役割を終え、震災 によって生じた新たな遺構のようなものとして残るかたち となった。通常であればこのまま解体の道へと向かうが、 震災後の地域産業を支えたこのプレハブ建築を、次の時代 へ継承することを施主と共に考え、ワイナリーとしてコン バージョンすることを試みた。求められたのはローコストと地域資源の活用であり、これらを実現するにあたり、プ レハブ建築をポジティブに評価することを試みた。そこで 合理化を目指したモジュールに着目し、そこへ「アッセン ブルする」という手法を考案した。この手法により、使い 手や建築家の関わり代をほとんど見出すことのできないプ レハブ建築を、使い方やニーズに合わせてカスタマイズし たり、周辺環境を踏まえた地域の特性と呼応するものへと 導くことが可能となった。これが「工業化建築をひらく」 という試みである。
This is a conversion project of a prefabricated fishery processing plant into a winery in Minamisanriku-cho.We focused on modules and developed a method of “assembling” by re-evaluating prefabricated building. We gathered prefabricated structural materials in the Tohoku area, and reused them.For non-structural materials, local waste materials were recombined with existing walls and sashes.The annex was also constructed as a symbol of the winery re-using steel as a structurally analyzed skeleton.By giving freedom to architecture that can be handled by the users we hope that this winery will take root in the landscape and acquire new regional characteristics.
【南三陸ワイナリー】
所在地:宮城県本吉郡南三陸町志津川旭ヶ浦
建築面積 (改修部分 合計 466.15m2) 延床面積(改修部分 合計 487.15m2)
構造:鉄骨造
設計監理:KATSU STUDIO 勝 邦義/株式会社 irodori 一色 ヒロタカ
構造設計:Graph Studio 福島 佳浩
設備設計:株式会社前田設備設計事務所 前田 康太/上玉利電気設備設計 上玉利 直也
グラフィック:Grotesk 本間 亮
施工:建築/有限会社山本セメント、ホソダアーキスタジオ 電気/有限会社イー・エム工業 衛生/株式会社小山設 鉄骨工事/有限会社今野鉄鋼所 サイン/株式会社アベ美装、株式会社オオウチ工芸 家具/一般社団法人南三陸YES工房 資材提供/大和リース株式会社
写真:鳥村鋼一
施工期間:2020.7月-10月
2023年第43回東北建築賞作品賞(日本建築学会東北支部)
2023年第2回JIA東北建築大賞優秀賞
MINAMI SANRIKU WINERY
7-3 Asahigaura Aza Shizugawa Minamisanriku-cho Motoyoshi-gun Miyagi
ISSHIKI Hirotaka/STUDIO IRODORI, KATSU Kuniyoshi/KATSU STUDIO, HUKUSHIMA Yoshihiro/GRAPH STUDIO
Main use:plant
Site area:1,983.50m²
Building area:818.79m²
Total floor area:818.79m²